PhotoⒸShinkenchiku
京都の三段屋根
自然を掴まえる屋根とテラス
京都市山科に建つ、若い夫婦２人のための住宅。沢山の友人を招きバーベキューを楽しむことができ、京都の街並みを楽しみながら二人だけの贅沢な時間も過ごすことができる住宅が求められた。
敷地は段状に造成された南向き斜面にあり、２階レベルからは南方向に山科の市街や盆地を囲む山々を望むことができる。そこで２階に生活の中心となるリビング・ダイニング・キッチンを集め、その南側に1.5間の奥行きを持つ屋外テラスを配し、屋内外が一体となる大きなワンルームをつくった。１階には寝室・水回り・客間を配した。
この住宅は北から南に向けて段々に高くなる３つの切妻屋根を持つ。本敷地エリアでは条例によって勾配屋根による景観が形成されている。その中で、同様の伝統的な勾配屋根を用いながらも、その構成によって、眺望や空、光や風といった環境を最大限楽しめるような、明るく清々したモダンな空間とした。
２階は南のバルコニーに対して開く大開口をもつ。冬季には南から長時間日射が入り込み、夏季にはバルコニーの屋根により日射が遮られる。また、屋根と屋根の隙間からは年中安定した北側からの昼光が得られる。屋外テラスは３つ目の屋根と外部用カーテンに守られる空間である。この空間は、リビングダイニングの南壁面に耐震壁を不要とする構造要素であり、日射や風を制御する環境装置であり、生活の拡張を受け入れ、庭・街路・隣家との距離感を調整する機能を持つ空間である。
高断熱高気密な外皮とし、開口部はすべて高性能な規格サイズの既製品とし、第一種壁付ダクトレス熱交換換気システムを導入することで、暖冷房なしの自然室温状態でも快適な温熱環境を実現した。また、室内外の仕上げは全てグレー調で統一し、個々の素材は未仕上げのまま全体として仕上げられた印象の空間とした。
天候の移り変わりによって微細に表情を変え、時に空や雲のグレーに溶け込む、自然との繋がりを感じることができる空間である。また、可変性のあるブラインドやカーテンによって自然との繋がり方の度合いを能動的に調整することで、自然との関係性に意識的になれる、ハイパフォーマンスでデライトフルな住宅である。
PhotoⒸYutaka Suzuki
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PhotoⒸShinkenchiku
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PhotoⒸARTENVARCH
PhotoⒸYutaka Suzuki
PhotoⒸYutaka Suzukii
PhotoⒸYutaka Suzuki
PhotoⒸYutaka Suzuki
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Site Plan
Site Section
Plan
Section
Thermal Comfort / Simulation
Daylighting & Natural Ventilation / Simulation
PUBLICATION：
新建築住宅特集2016年10月号
“Architecture and Culture”(韓国）
基本データ ————————————————————————————————————————
主要用途／専用住宅
家族構成／夫婦2人
場所／京都府京都市
延床面積／116.23 ㎡
規模／地上2階
構造／木造
最高高さ／8,290 mm
設計・監理
川島範久+佐藤桂火 / ARTENVARCH
環境・設備 高瀬幸造 / ARTENVARCH
構造 平岩良之
照明 CHIPS LLC.
担当／永島和弘 永島有美子
テキスタイルデザイン NUNO
担当／堤有希
ランドスケープデザイン 稲田ランドスケープデザイン事務所
担当／稲田多喜夫
PM協力 霜鳥考宗
協力 大沼友佳理 吉澤敬一郎 國友拓郎
施工
京都建設株式会社 担当 水谷智己 新谷悠希子
外構・造園 吉仁園
環境性能 ————————————————————————————————————————
断熱性能（外皮平均熱貫流率） 0.36W/m2K
※HEAT20 G2グレード相当
※断熱ブラインドの効果は計算に見込んでいない
冷房期の平均日射熱取得率 2.0%
設計1次エネルギー消費量 69.9GJ/年 （H25年省エネ基準値105.4GJ/年）
※WEBプログラムにより計算。断熱ブラインド、通風の効果は計算に見込んでいない
気密性能（相当隙間面積：実測値） 0.20cm2/m2