HOUSE BB+

PhotoⒸYutaka Suzuki

 

HOUSE BBが竣工して約7年の歳月が経った頃、1階に小さな住宅を増築することになった。BBの住人である中年夫婦の両親は長野市から離れた松本市に住んでいたが、1年ほど前に父が亡くなり、母が残された。母は足腰が悪く介護が必要で、その娘(BBの住人)は介護のためにBBのある長野市と母の住む松本市を往復する日々を続けていたが、冬に雪が多く降る長野でそのような生活を続けることは難しく、BBの土地で一緒に暮らすことはできないかという相談を受けた。

2階のロの字型ボリュームは木質門型フレームで持ち上げられており、1階は壁のないピロティ空間だった。門型フレームは当初より1階への将来の増築可能性を考えて配置されていたため、ロの字の下の空間の一部に、L字型の空間を門型フレームに沿った床と壁だけでつくるといったシンプルな計画とすることができた

L字の北側にキッチン・ダイニング、南東角に朝日の入るベッド、西側に洗面所・浴室を配し、これらが壁なしで連続するワンルーム空間とした。2階西側の玄関からは1階のダイニングの様子が、2階北側のキッチン・ダイニングからは1階の洗面所・浴室の様子を目視で確認ができる、といった立体的な視線の交感が生まれることになった。また、北側の街路から奥まった位置にあり、2階のロの字ボリュームが深い軒として機能するため、都市との適度な距離感のある空間となった。

 

基本データ —————————————————————————————————————
場所:長野県長野市
竣工:2016. 03
主要用途:個人住宅(増築)
延床面積:33.77 ㎡ (増築部分)
規模:地上2階+塔屋1階(地上1階の増築)
構造:木造

設計・監理
建築: 川島範久,田中渉
設備:高瀬幸造
構造:平岩良之

設備システム————————————————————————————————————-
空調 暖房方式 / エアコン+ガス温水床暖房
冷房方式 / エアコン
換気方式 / 全熱交換式(ロスナイ)
給湯 給湯方式 / 潜熱回収型ガス給湯(エコジョーズ)

外皮性能・エネルギー————————————————————————————————–
外皮平均熱貫流率(UA値):0.41 W/㎡K
冷房期の平均日射熱取得率(ηA値):2.1 %
設計1次エネルギー消費量:40.9 GJ/年(断熱ブラインド併用時)