HOUSE BB

PhotoⒸYutaka Suzuki

 

子供が独立し、二人で暮らす中年夫婦のための住宅。敷地は長野県長野市。周囲には2階建ての戸建住宅が密集して建ち、北側の幅員4mの前面道路を挟んだ向かいには農協の大きな倉庫が建つ。そのため1階レベルは圧迫感があり日照も景色も望むことができないが、2階レベルは日照を受けることができ、3階レベルまで上がれば長野盆地の壮大な山々を望むことができる。

そこで、主な生活空間を2階レベルにまとめ、1階レベルをピロティ空間とし、3階レベルには塔屋を設け屋根上にも出られるようにし、周囲の山々を望むことができる清々した場所とした。2階はロの字型のボリュームとし、外周には隣家との見合いを考慮し小さな開口を分散して設けた。中庭側には大きな開口、屋根や床にも開口を設けた。これらの工夫により、密集した街区においても有効なダイレクトゲイン・昼光利用・自然通風を可能とし、自然との繋がりを楽しめるようにした。一方、外皮面積が多く熱的に不利な形状であるため、十分な断熱性能を確保し、高効率な設備機器を導入することで、快適な温熱環境と省エネルギーを実現した。

ロの字は門型フレームで持ち上げられ、1階は光が降り注ぐ、壁のない見通しのよい空間となっている。これにより近隣との関係性は開かれたものになっただけでなく、周囲の住宅にも風を届けられるようになった。同時に将来の変化を受け入れるための余地としても設計した。

 

 

PhotoⒸYutaka Suzuki

PhotoⒸShigeo Arikawa

PhotoⒸYutaka Suzuki

PhotoⒸYutaka Suzuki

PhotoⒸYutaka Suzuki

PhotoⒸYutaka Suzuki

PhotoⒸYutaka Suzuki

PhotoⒸYutaka Suzuki

PhotoⒸYutaka Suzuki

PhotoⒸYutaka Suzuki

基本データ ————————————————————————————————————————
場所:長野県長野市
竣工:2009. 04
主要用途:個人住宅(戸建)
延床面積:72.04 ㎡
規模:地上2階, 塔屋1階
構造:木造
最高高さ:8,650 mm

設計・監理
建築:川島範久,田中渉
設備:高瀬幸造
構造:平岩良之

設備システム————————————————————————————————————————
空調 暖房方式 / エアコン+温水ヒートポンプ床暖房(PCM蓄熱)
冷房方式 / エアコン
換気方式 / 壁付け式第三種換気
給湯 給湯方式 / 太陽熱給湯, 従来型ガスボイラー(LPG)

外皮性能・エネルギー————————————————————————————————————–
外皮平均熱貫流率(UA値):0.48 W/㎡K
冷房期の平均日射熱取得率(ηA値):2.2 %
相当隙間面積(C値):1.5 cm2/m2
設計1次エネルギー消費量:99.2 GJ/年