PhotoⒸJumpei Suzuki
猫目線の家
猫が人と幸せに共生するために最も大切なことは、「猫の尊厳」が守られた暮らしを送れるようにすることだと思う。農村で優秀なネズミハンターとして飼われていた猫は、人間の生活の場が近代都市に移るに従って、農村から都市へ、屋外から屋内へと生活の場を急速に移し、近年は室内飼いが主流となってきた。「室内飼いはかわいそう」という声も聞かれるが、交通事故や感染症のリスク等を考えると、室内飼いには大きな利点がある。室内で暮らしつつも、「自然」の中で生活するのと同じように本能を満たされ、猫としての自信に満ちた生活を送れるような家をつくれないだろうか。本提案は、夫婦と室内飼いの猫2匹のための家である。家の外周には、木でつくる『16の窓』が出幅と高さを変えながら螺旋状に連なる。季節や時間の変化によって太陽の差し込む窓辺が日時計のように変化し、窓の外では植物が育ち、鳥や虫が訪れる。そのような変化する「自然」を人も猫も楽しみながら暮らす(鳥や虫が訪れる窓辺で、獲物を見つけ、観察し、仕留めるための作戦を練るだけで、猫の本能は大きく満たされると言う)。家の中央には、土でつくる『ペチカ』がある。暖炉・オーブンコンロ・サウナを内包し、その上部には高さと広さの異なる平場が段々に螺旋状に連続する。日が沈んだ後の太陽に代わる存在として揺らめく火を見ながら、人も猫も夜の時間を過ごす。このような『16の窓』と『ペチカ』を通して、変化する「自然」をたのしみながら人と猫が共に暮らすことのできる家の提案である。
PhotoⒸJumpei Suzuki
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基本データ ————————————————————————————————————————————————
主要用途/専用住宅
家族構成/夫婦+猫2匹
延床面積/97 ㎡
最高高さ/6.0m
軒高/2.7m
規模/地上1階
構造/木+鉄骨混構造(鋼管杭基礎)
設計:川島範久建築設計事務所
担当/川島範久,大沼友佳理,國友拓郎,竹内翔平,中村衣里
協力:勝俣佳奈,舘衿花,茂木真琴,磯野信,南雲雄大
ねこ:のん・らい
展示 ———————————————————————————————————————————————————
出展:『猫目線の家』展
会期:2022年2月14日~2022年3月25日
場所:Karimoku Commons Tokyo