“GOOD CYCLE BUILDING 001 | 淺沼組名古屋支店改修PJ”が第1回SDGs建築賞・大規模建築部門 (一財)住宅・建築 SDGs推進センター理事長賞を受賞しました。
以下、講評文です。
本建物は、総合建設会社である淺沼組が推進する「人間にも地球にもよい循環」をつくり上げる『GOOD CYCLE BUILDING』を、築30年の自社ビルのリニューアル計画として実現したフラッグシップである。建築物における資源循環の取り組みは、一般的に3R(リユース、リーデュース、リサイクル)建材の利用に留まるが、本建物では「都市における循環の中に建築を位置づける」として、主には1)建設残土、都市のゴミ等のアップサイクル、2)自然素材の人工素材とは分離できる形での利用、の大きく2つの方針をもって取り組んでおり、次の段階でのリユース、リサイクルにも真剣に取り組んでいる。
以下に、評価された主たる特徴を記す。
1)持続可能な森林からの木を転用可能性を高めながら、端材まで使い切ることを掲げ、正面ファサードや家具などに利用している。
2)同社の同県の他の現場から発生した建設残土12t分を内外の床・壁の材料とし、社員が自ら塗ることにより、建物への愛着の醸成とメンテナンス性の確保を実現している。
3)躯体断熱、高性能サッシ・ガラスへのやり替え、日射遮蔽材の設置などを全面的に実施し、改修により外皮負荷35%削減(計算値)を実現している。
4)昼光利用を目的として外壁に新たな開口を設け、照明エネルギーの低減を図っている。
5)建設時CO2排出量を改築から改修としたことで85%削減、運用時CO2排出量を52%削減とLCCO2の大幅な削減とZEB readyを実現している。
6)社員の認知機能検査による向上効果や季節代表日による室内環境計測の実施など、環境負荷低減だけでなく、品質向上の状況を適切に検証している。
建物のSDGs対応として、多くの建物が従来からの環境配慮である省エネ等の取り組みに留まりがちな中で、本リニューアル計画は資源の循環を最大のテーマとし、それを高い水準とデザイン性で実現している。また、多くのパートナーや社員との協業により、ビジネスへの展開を強く予感させるパートナーシップ構築も達成しており、SDGs時代の新しいリニューアルのあり様を提案している。