Photo@Yohei Ogata
行動と気候を介在し、人間と建築が変化する建築
本当のサステイナビリティの実現には、コミュニティとエネルギーの持続が必要であり、それには現在のライフスタイルの変化が求められる。それに対し、建築・空間にできることは何かを追求することがテーマである。
そこでは、人間は変化するものであり、建築も変化するものであるという考えがカギになる。建築は、物理的にも大なり小なり「動く」ものであり、建築を取り巻くエネルギーは「流れ」を持つものである。そのような建築の「変化」は人間に気づきを与え、ライフスタイルを変化させ、それが再び建築を変化させる、といったフィードバックループを生み出すキッカケになりうる。そのような、行動と気候を介在して、人間と建築が変化していく建築をDemocratic / Climatic Architecture と呼ぶことにした。
エネルギーも空間も有限であり、究極的にはいかにそれらをシェアするかが問題なのである。近代都市は、固定化された人間に対して、一定の環境を作り出してきたが、人間も建築も変化するものと考えたとき、つくられるべき環境は変わりうる。空間すべてを一定の環境(空気・熱・光)にするのではなく、人間が自ら快適な環境を探して動けば、ムラのある環境も許容できるようになる。建築を不変不動なものにしようとするのではなく、人間が自ら簡単に付けたり剥がしたり動かしたりすることを可能にすれば、結果として空間やモノを永く使い倒すことができるようになる。
このとき、経年変化する「弱い部材」-木やレンガといった人の手でも加工できる自然素材(切る・削る)から、照明や空調といった環境をコントロールする設備機械(取り替える)、そして設備や可動部位を制御するコンピュータープログラム(書き換える)まで-が見直されることになるだろう。そして空間とエネルギーをシェアするために、「弱い部材」を用いた建築の変更に人間が介在することは、コミュニティをつなぎとめ、エネルギーをセーブすることにも繋がるのである。
基本データ ————————————————————————————————————————
場所:東京都港区
主要用途:作品展示・インスタレーション
展示:Japanese Junction Emerging Tragectories 2013
会期:2013. 12. 20 – 2014. 01. 13
出展: 川島範久, 丸山亮介